子供の時から、音楽は謎だ。不可解だ。
ゆえに今だに音楽に対する苦手意識がなくならない。

文芸はどうか。
「不慮の事故で親友が死んだ。」−この文章そのものに、この字形の連なりそのものに、悲しみはない。
「不慮の事故で親友が死んだ。」という状況を思い浮かべて悲しみを覚える。

音楽はあるメロディ、音の連なりそのものから、悲しみを覚えることがある。
歌詞がある状況を想起させ、それに悲しみを思い浮かべるということはあるが、
そういうことではなく、音の連鎖そのものがある感興を引き出している。
不思議なことだ。

それはある種の本能に、大脳に、刻み込まれた何ものかによるものだろうか。
野生的なものである一方で、抽象的な、数学のもたらす感興に通じるものかもしれない。